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抗がん剤投与の間(TS-1)その1 [2011年6月、1回目の入院]

TS-1(テガフール・ギメラシル・オテラシルカリウム配合剤)を
飲み始めたのは2012年1月後半だと思う。1/11のCT検査にて
主治医の見解は

1.胆管に浸潤する胆嚢の腫瘍はわずかにサイズの増大を認めるが大きな変化なし
2.腹部大動脈周囲など腹腔内のリンパ節転移についても著変はなし
3.両肺に複数の小さな結節が新たに出現し,肺転移の可能性が高い
4.腫瘍マーカー(CA19-9)が上昇してきた

でした。つまりゲムシタビン+シスプラチンの組み合わせで
あまり効果が出ず、シスプラチンの蓄積毒性を考慮して主治医
は抗がん剤の変更を決定した。実は正月明けにちょっとだけ帰国し、
主治医とTS-1の話をして「効くとは正直思えないのですが」
と伝えると「それでも腫瘍が縮小した結果もあるんです」と
言われた。後で思い起こせば、その症例の文献を教えて
もらえばよかった。

(追記)もしかしてこれかも。
切除不能進行胃癌に対するFirst-Lineで施行したTS-1単独療法の検討

英語の要約だと1例で腫瘍が消滅した、と謳っている。日本語では
それを書かないのは何故?
In 1 patient, the carcinomatous ascites disappeared,and in 3 patients they decreased remarkably.
An investigation of TS-1 single-agent therapy administered as first-line therapy for unresectable advanced gastric cancer(追記終り)

当時自分が調べたものだと効果ないという結果だったが
UFTはTS-1はどうやら違うらしい。

Furuse et al. (2005). A Phase II Trial of Uracil–Tegafur (UFT) in Patients with Advanced Biliary Tract Carcinoma. Jpn J Clin Oncol. 35 (8): 439-443.

結論:UFT appears to have little activity as a single agent in treating patients with advanced biliary tract carcinoma. These findings do not support its use in practice, and further trials with this regimen in patients with biliary tract carcinoma are not recommended.
(UFTを進行性胆道癌患者に対して単独で使用した場合、ほとんど効果がないと思われる。今回の発見は臨床での使用を支持するものではなく、進行性胆道癌患者に対しこのレジメン(=UFT単独)のさらなる治験は薦められない。

後で調べたら3つの文献が効果ある、って言ってる。でも
これって薬の承認後の論文なのは気のせい?

S-1 monotherapy as first-line treatment in patients with advanced biliary tract cancer: a multicenter phase II study.
S-1 monotherapy in patients with advanced biliary tract cancer.
Multicenter phase II study of S-1 monotherapy as second-line chemotherapy for advanced biliary tract cancer refractory to gemcitabine.

TS-1は元々胃がんへの薬で、胆道癌への保険適用は2007年
8月。服用方法は朝晩2回の内服で通院の必要がないことは
いいこと。4週間連続服用後、2週間の休みをもらっていた。
外来では2週間ごとに通院し、主治医と面談していた。

長くなったのでその2に続く。

抗がん剤投与の間(ゲムシタビン+ランダ) [2011年6月、1回目の入院]

数日前のブログで書いたように、母の抗がん剤の
組み合わせはジェムザール(=ゲムシタビン、日本化薬)
とシスプラチン(=ランダ、日本化薬)で、点滴による
静脈への投与だった。3週を1クールとし、1日目と8日目
に6時間ぐらいかけて投与し、3週目はお休みとなった。

最初の2回ぐらいは入院していたときで、どんな副作用
が出るか、点滴量も含めて観察されていたと思う。それ
以降は退院し、外来で同じペース(1日目と8日目)で
投与を受けていた。

特にシスプラチンはたまると毒性(腎臓)があるため、排泄を
促すためにたくさんの輸液(生理食塩水)が使われた。
点滴もゆっくりと入れるので、4時間ぐらいかかっていた
と母から聞いた。この抗がん剤は副作用として骨髄抑制
を起こすので、毎回点滴前に血液検査をして、白血球の数を
確認する必要があった。そのため外来で通っても午前中に
まず血液検査、担当医との面談の後、午後抗がん剤投与と、
ほぼ丸一日かかった。

全く同じかどうかわからないけど、東北大学病院での
この抗がん剤の処方方法。

①ソルデム3A輸液500mL (60分)
②生食50mL+グラニセトロン塩酸塩3mg+デキサメタゾンリン酸エステルナトリウム 6.6mg (15分)
-②は①の側管から同時滴下
③生食250mL+シスプラチン25mg/m2 (60分)
-③は②投与後、①の側管から同時滴下
④ソルデム3A輸液500mL (60分)
-①の後から投与
⑤生食100mL+ゲムシタビン塩酸塩1000mg/m2 (30分)
-⑤は③投与後、④の側管から同時滴下
⑥生食50mL (5分)
-⑥は⑤投与後、④の側管から同時滴下
⑦生食500mL (60分)
-④の後から投与

胆道癌ゲムシタビン・シスプラチン療法

母の場合、やはり骨髄抑制が出た。赤血球の数が減り、
結果ヘマトクリットも30を切ったが、これが原因で抗がん剤
投与中止になった週はなかった。日常での副作用としては、
味覚が変わったこと。3週目の休みの週は気分の問題かも
知れないが、味が戻ってご飯がおいしいと言っていた。味覚
変化は当日ではなく、2日~4日目がひどかったと思う。それ
と髪の毛が減ったが、心配した完全に全て抜ける、という
ほどではなかった。吐き気は幸いほとんどなかったと聞いて
いた。

ゲムシタビン(代謝拮抗剤)
シスプラチン(プラチナ製剤)

これを半年ぐらい続けたが、腫瘍の縮小効果は見られなかった。
むしろ肺のリンパ節に転移が見られる、という話だった。予想は
していたけど、つらい結果だった。これで主治医はその後TS-1と
いう経口で飲める薬を処方するのだが、個人的にはそれに余り
期待が持てなかった。そもそもTS-1は日本発の薬であるが、
胃がんならまだしも、胆道癌に関しては日本でしか使われて
おらず、効果も単独では?と感じていたから。TS-1について
知りたい方は発売元である、大鵬薬品のHPをどうぞ。

TS-1

ただ一方で、食事に困った以外はこの期間母は普通の生活
を家で送っていた。ステントのお陰でT-billの値は安定して
おり、食べたいものを食べていた。また山歩きにでかけたり
旅行に出かけたりしていた。抗がん剤の点滴で通院する
以外は癌患者であることを微塵とも周りに思わせなかった
と思う。また病院の粋な計らいなのか、点滴中にはお茶を
どうですか?と気分転換してもらっていたようだ。

胆道ドレナージ [2011年6月、1回目の入院]

今回は1回目の入院後の胆道ドレナージの話。母は主治医より
閉塞性黄疸があると診断され、入院したその日にまずは経皮経肝
胆道ドレナージを施された。閉塞性黄疸を放置すると肝不全を来
たして死に至ったり、胆汁の流れが悪くなるだけでも細菌感染を
起こしやすくし、しばしば化膿性胆管炎を伴うとのこと。

経皮経肝胆道ドレナージは超音波画像で確認しながら、癌によって
つまって拡がった胆管に腹壁から針を刺してチューブに交換し、
お腹から出ているチューブから胆汁を排出する方法。母は当初
確かに右のお腹からチューブが出ていて、その先にはプラスチック
のバッグがあり、胆汁がたまっていました。

以下の記事によると、胆汁は胆汁酸と胆汁色素を含み、前者は
界面活性剤として食物中の脂肪を乳化して細かい粒とし、リパーゼ
(lipase、脂肪を分解する酵素)と反応しやすくすることで脂肪の消
化吸収に重要な役割を果たすそうですが、消化酵素は含まれて
いないとのこと。つまり脂肪を含まない食物を摂っていれば、この
ままでも苦痛はなく、逆に無理して脂肪があるものを食べるとうま
く消化できずに苦しいようだ。

経皮的胆管ドレナージ

ただこの方法はあくまでも応急処置で、主治医は早くこのチューブ
を使って腫瘍で狭くなってつまっている箇所にステントという網状の
薄い金属製品を挿入し胆汁が通るようにしようとしたが、癌が邪魔
をして2回ほどステント留置に失敗した。途中、その手術のためか
細菌に感染し、結果胆汁が溜まるバッグの中身が緑色になったり、
熱が出たりもしたため、2週間ちょっと母は胆汁を外にだすバッグを
ぶらさげることになった。この間、抗癌剤投与も始まった。そこで
主治医は次回、内視鏡を十二指腸まで挿入し、本来の胆汁の出口側
から胆管内にステントを置いてくる方法(内視鏡的ステント留置術)を
取った。このときはX線透視で観察しながら造影剤を注入して
レントゲン写真を撮影し(内視鏡的逆行性胆管膵管造影)、詰まって
いる所を確認しながらステントを留置して、成功したとのこと。

このステント留置成功のお陰で母はバッグをたらして歩くことから
開放され、何でも食事を取ることが出来るようになり、退院となった。
一時はバッグをたらしながら退院して日常生活に復帰することに
なるかも、と言われただけに家族としても非常にうれしかった。
ステントは半年程度もてばいいが、と言われたが実際は結構
最後まで持ち、母のQOLを高める上で非常に貢献してくれたと思う。

胆道ドレナージ術
内視鏡的逆行性胆管膵管造影

1回目の入院前の母の症状 [2011年6月、1回目の入院]

そもそも母の病状の概略がなかったので、紹介します。

2011年6月当時、71歳、それまで主だった病歴なし。2010年
11月に受けた健康診断でも癌は見つかっていなかったが、
小さな胆石が胆嚢か胆管に見られるけれど、問題になる大きさ
ではないと言われたそうだ。「たられば」を言えばここで精密検査
をしていたら、もしかしたら癌が見つかっていたかも知れないが
ここでは議論しないこととする。一般の健康診断では見つから
なかった、ということだ。それ以外は健康そのもの。定期的に
運動する習慣があり、山登りにもよくでかけていた。

2011年5月30日、みぞおちに鈍い痛みを訴え、近くの胃腸科で
診察を受けるも、胃カメラ飲まされて異常なしとの判断。薬の
処方もなく家に帰された。6月17日、痛みがとれずもう一度同じ
ところに行ったが、痛み止めをもらったのみ。このときすでに
茶褐色の尿、白い便が出ていてそれも症状として訴えたが
「問題ない」とここの医師は言ったらしい。軽い黄疸も出ていた
はずだが、それも見逃していたようだ。結果から言うとこれらは
典型的な肝臓、胆管・胆嚢疾患の典型的なサイン。この医師
には猛省してもらいたい。

6月20日、やっぱり痛いので別の少し大きな病院へ。ここの
担当医は母を診断するなり「ここでは治療できないので、
紹介するから大学病院にすぐ行って下さい」とのこと。翌日21日
大学病院で検査すると、即入院となった。すでに以前のブログ
で書いたが、診断は外科手術をすることの出来ない、局所進行
した胆道癌。一回目の入院は8月11日までで減黄処置
(ドレナージおよびステント留置)と抗癌剤開始(ジェムザールと
シスプラチン、点滴)が目的であった。普通はステント留置後
抗癌剤治療に入るが、なかなかうまくステントが入らず(2回失敗)、
一方で胆道癌は進行が早いため、母の場合結果的に抗癌剤治療
が先となり、後でステント留置成功となった。

結論を言うと、1つ目に行った医師の判断は醜かったが、もしここ
で癌が発見されていても、外科手術できる段階だったかというと
その可能性は高くなかったと思う。ただ単に無駄に約1ヶ月も痛み
を我慢せざるえなかった母が気の毒でならなかった。

局所進行性胆道癌に対する外科手術の可能性 [2011年6月、1回目の入院]

どこのサイトにも書いてあるが、胆道癌根治には外科手術が
不可欠。母の場合、残念ながら局所進行性胆道癌のため、
手術対象とならなかった。

記憶が正しいのなら、担当医の説明は肝門部胆管癌で
癌が肝臓や門脈などにも浸潤している可能性が高いという
ことだった。癌により胆管が狭窄され、胆汁が十二指腸に
行かず、逆流して血液中に流れ込み、結果黄疸が出た
(閉塞性黄疸)という説明だったと思う。正確には肝臓で
代謝されたビリルビンが胆汁逆流により血液中で増加
したため目の白めや肌で黄疸が出たということ。血液検査
ではT-bill(総ビリルビン)の値が上がっていたはずがだけど
手元にそのときのデータがない。もらったのか、もらってない
のか?

黄疸とは
総ビリルビン(T-Bill)

実際は抗癌剤で治療する前に、黄疸軽減のためにドレナージ、
そして胆管にステント留置があったけど、このことは次回以降に
触れることにします。

さて、母を担当してくださった先生は、日本肝胆膵外科学会が
認定する肝胆膵外科高度技能専門医であったが、あきらめきれ
ず、セカンドオピニオンを聞くことにした。自分の場合、アメリカで
長く開業されていて、大変お世話になった先生が帰国されていた
ので、画像を持ってセカンドオピニオンを聞きにいった。しかし
残念ながらその先生も同じ意見にたどりついてしまい、母は抗癌剤
による治療(=延命のみ)を納得せざるえなかった。

それでも悔しくてアメリカの事例を調べたが、アリゾナやロチェスター
のMayo Clinic(有名な病院)、アトランタのEmory大学病院では
放射線や化学治療と肝臓移植で従来手術適用外だった進行性
胆道癌を治療し、劇的に成果があげていることを知った。

マヨクリニック
Liver Transplant for Bile Duct Cancer Improves Survival
イモリー大学
Liver Transplant Cholangiocarcinoma Treatment

この手術法に関する文献(英語)
Liver transplantation for cholangiocarcinoma
Liver Transplantation with Neoadjuvant Chemoradiation is More Effective than Resection for Hilar Cholangiocarcinoma
Prolonged disease-free survival after orthotopic liver transplantation plus adjuvant chemoirradiation for cholangiocarcinoma

日本でも出来ないか?と考えたが、日本では胆道癌に対して
肝臓移植は適用外ということを知った。アメリカに母を連れて
いくことも考えたが、法外な治療費などを賄える余裕が自分に
あるわけでなく、さらに行ったとしても移植可能なドナーが現れる
かどうかの問題もあったため、現実的な選択肢ではなかった。

日本では自分が知る限り、東北大のチームが胆道癌に放射線
を使い、術後の予後を改善させた報告をHPで見つけた。また
京大のチームは胆道癌治療に放射線を使った例を報告していた。
そこで一応担当医にも放射線治療の可能性を尋ねたが、積極的
ではなかった。

胆管癌
進行胆管がんの術前化学放射線療法
胆管癌の術前放射線化学療法で生存期間が延長する可能性
胆道癌に対する放射線療法

こうして自分自身も現実の選択肢を受け入れることに納得せざる
を得なかった。

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